“界面はデバイスそのものである”と、ノーベル賞受賞者であるKroemer 博士は喝破した。これはシリコン半導体素子や半導体レーザー素子を想定した言葉であったが、今、この一言は色あせるどころか、ますます輝きを増している。
ナノテクノロジーの進展に伴い、原子レベルで制御された構造作製や、一つ一つの原子や分子を操ることも可能となってきた。そして構造が微小化するにつれ表面の効果が顕在化し、表面上に形成する界面が物性を決定づける要素となっている。持続的発展可能社会の担い手でもある太陽電池や蓄電技術は、原子レベルでの界面制御の場である。そして将来的には、量子効果と多元素による新機能の組み合わせによる全く新しい可能性も期待できる。
さらに、表面・界面研究は各種ナノ計測技術進展の牽引車ともなっており、 科学研究の知識と技術の源泉と言っても過言では無い。近代科学では、 従来の物理、化学、無機物、有機物という縦割りは用をなさない。その先鋒 である“界面ナノ科学”は、多くのフィールドの研究者の知恵を動員して開拓 すべき一大研究領域である。そのような多彩な研究者が集まってなされる活発な議論こそが“表面・界面”であり、そこから新たなナノ科学が花開くことを望む。 |
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