水和ナノ構造研究会 (2015年~2017年)
委員長 日下 勝弘(茨城大学フロンティア応用原子科学研究センター准教授)
●研究会コンセプト
サブナノメーターレベルで生体内機能を制御するタンパク質等の周りには、非常に多様な形で水が存在する。あるものは安定に水和し、あるものは運動し、そしてあるものはイオンの形で存在する。タンパク質や核酸DNAのように特定の大きな構造を持つ生体高分子と比べて、小さな分子である水が、生体高分子とどのように相互作用をして生命活動を成立させているかは、未知な部分が多い。たとえば、タンパク質やDNAが機能する直前の分子認識における水の役割、化学反応中の状態における水の関与したプロトンや水分子自体の授受および水素結合の形成・解消、そして、反応後の水の脱離やタンパク質・DNA分子への再水和・再配置、さらには膜タンパク質のプロトンポンプ機構におけるプロトン等の授受における水の役割のように、生体機能の中において、ナノスケールで重要な役割を、黒子のように、果たしている。このような水和ナノ構造の解明には、水素位置決定を得意とする中性子回折法が重要な役割を担う。まもなく1MWの最高出力を迎えるJ-PARCの中性子回折計(茨城県生命物質構造解析装置 iBIX)にて、各種酵素とその基質との複合体や膜タンパク質も含めた水和構造に関して、プロトネーションも含めた機能に直結した水や水素位置構造の解明を目指す。
本研究会では、上記iBIXのソフトウエアの改良や必要な大型結晶育成法も含めて、さまざまな実験分野のほか、計算科学研究者にも生体高分子中の水やプロトネーションについて議論を深めてもらい、関連分野の飛躍的な発展を狙う。
●会員名簿
(委員長) | 日下 勝弘 | 茨城大学フロンティア応用原子科学研究センター | |
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(会員) | 田中 伊知朗 | 茨城大学大学院理工学研究科 | |
新村 信雄 | 茨城大学特命研究員 | ||
五十嵐 圭日子 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 | ||
茶竹 俊行 | 京都大学原子炉実験所 | ||
秋山 良 | 九州大学大学院理学研究院 | ||
今野 美智子 | 茨城県 産業利用コーディネーター | ||
矢野 直峰 | 茨城大学フロンティア応用原子科学研究センター | ||
横山 武司 | 富山大学大学院医学薬学研究部 | ||
石北 央 | 東京大学先端科学技術研究センター | ||
重田 育照 | 筑波大学計算科学研究センター | ||
冨田 賢一 | (株)ヴィジブルインフォメーションセンター | ||
高野 和文 | 京都府立大学大学院生命環境科学研究科 | ||
山田 貢 | 宇宙航空研究開発機構有人宇宙技術部門 | ||
海野 昌喜 | 茨城大学大学院理工学研究科 | ||
2017年4月現在 |
●開催状況
2015年度 < 活動報告書 >
・第1回: 2015年9月1日ー2日(福島)
・第2回: 2016年3月6日ー7日(宮城)
2016年度 < 活動報告書 >
・第1回: 2016年10月4日(東京)
・第2回: 2017年3月27日(東京)
2017年度 < 活動報告書 >
・第1回: 2017年10月11-12日(山形)
・第2回: 2018年3月6-7日(宮城)