異なった発想を持つ人材による専門領域を越えた総合的調査研究活動・新世代を担う人材の育成・人類社会への貢献

ATI -公益財団法人 新世代研究所- Foundation Advanced Technology Institute.ATI -公益財団法人 新世代研究所- Foundation Advanced Technology Institute

研究会 第Ⅸ期(2018~2020年度)

ナノサイエンス、ナノテクノロジー分野において、専門領域を越えた研究人材による科学技術研究と異分野研究領域の融合を推進し、新しい研究コンセプトの提案を目指します。

界面ナノ科学研究会 委員長:柴田 直哉 (東京大学大学院工学系研究科 教授)

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●研究会のコンセプト

界面における現象の理解とその制御は、材料、デバイス、バイオなど様々な分野におけるキーテクノロジーとしてますます重要性が増している。最近では、原子・電子レベルで界面構造を詳細に計測する手法や界面電子 状態を精緻に予測する計算科学 などの進展が目覚ましく、新奇な現象の発見や界面を積極的に応用したデバイス開発などが数多く 報告されている。しかし、界面科学のフロンティアはまだまだ未踏・未開拓の領域が数多くあり、多くの研究者を魅了してやまない。
本研究会では、広くナノ界面科学をキーワードとして、様々な分野の気鋭の若手研究者を集め、ナノ界面を切り口とした新たな科学分野の潮流を生み出すことを目指す。界面をキーワードするとき、必然的に学際的なメンバーが集うこととなるため、普段密接な交流をもたないメンバー間の”界面”に積極的に”反応”を起こさせることで、本研究会オリジンの新たな研究フロンティアの開拓にも 挑戦したい。また、社会と研究者の今日的な関わり方に関しても議論し、これからのあるべき科学者像についても意見交換したい。

 

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バイオ単分子研究会 委員長:西野 吉則(北海道大学電子科学研究所 教授)

バイオ単分子研究会

●研究会のコンセプト

生命現象を動的な分子レベルから理解することは、生物学の究極の目標の一つである。これは量子力学的な「デジタル」 世界と古典統計力学的な「アナログ」世界とを結び付けるという、自然科学の壮大な問いにも通じる。
特定の立体構造をもったタンパク質分子やその複合体は、あるものは精密な 「デジタル」な分子機械として振る舞う 一方で、あるものは熱的なゆらぎを受けて「アナログ」な動的機能を発現する。DNAを介して「デジタル」な遺伝情報は次世代に正確に受け 継がれるが、エピジェネティックな制御により「アナログ」で多様な表現型に道が開かれる。
さらに、生物は雄大な時間スケールで大進化を起こす。このように、生物は、確実な動作や情報伝達を行うデジタルな世界と、多様性と個性をもったアナログな世界を巧みに使い分けて自らを制御している。多数の分子のアンサンブル(集団)平均や時間平均ではなく、生物試料を、生きた細胞の中や生きているに近い環境で、分子レベルで理解するには、多岐に亘る革新的な技術開発が求められる。
本研究会では、様々なプローブを用いた単分子レベルでの計測技術や、細胞の動的制御技術、さらには情報科学や理論など、様々なアプローチから、生命現象の動的な分子レベルからの理解を目指す議論を交わすことを目的とする。

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スピントロニクス研究会 委員長:齊藤 英治 (東京大学工学系研究科 教授)

●研究会のコンセプト

スピントロニクス研究会

スピントロニクスは、磁気の自由度と電流を ナノテクノロジーによって結びつけることによって進展し、磁気メモリなど新しいテクノロジーを生み出す一方で、スピンホール効果、逆スピン ホール効果、スピンゼーベック効果、スピンペルチェ効果、純スピン流誘起磁化反転、絶縁体へのスピン注入、スピン起電力など、ナノスケールの領域で発現する数多くの新現象をもたらした。 最近では、スピンダイナミクスや磁気応答の非線形性を利用した人工脳型素子・機械学習 デバイスへの応用や、微小構造メカニクスへの応用の研究も始まっており、物性科学やエレクトロニクス、ナノメカニクス、流体科学を横断する新しい学術が形成されつつある。
本研究会では、日本のスピントロニクス研究の中心メンバーが集まり、スピントロニクス緒現象を 最新の物理的知見と材料科学、ナノテクノロジーの視点から深く議論し、最終的には新しい スピントロニクス機能を提言することを目標とする。

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ナノカーボン研究会 委員長:片浦 弘道(産業技術総合研究所 首席研究員)

ナノカーボン研究会

●研究会のコンセプト

 炭素材料としては、sp3固体のダイヤモンドとsp2固体のグラファイトが古くから知られているが、20世紀末からフラーレン(0次元)、ナノチューブ(1次元)、グラフェン(2次元)等、ナノカーボン材料の発見が相次いだ。これら、構造柔軟な2次元ネットワークを基本とする材料系では、ネットワーク次元の 変化に伴う物性の質的な変化が期待され、重点的にその物性研究が進められてきた。近年では炭素 材料にとどまらず、遷移金属ダイカルコゲナイド系をはじめとする新たな原子層材料にも広がりを みせ、さらにそれら原子層を自在に組み合わせるヘテロ接合系では、無限ともいえる新材料系の構築が可能になりつつある。ナノカーボン研究会では、これらナノカーボン材料をはじめとする魅力的な低次元ナノ材料に焦点をあわせ、その基礎物性の理解から応用技術展開まで広く調査研究を行い、 科学・技術の発展への貢献を目指す。本分野のエキスパートである構成委員による議論だけで無く、若手研究者を交えた合宿形式の研究会を開催することにより、通常の学術集会では得られない熱い議論と深い理解の機会を提供するとともに、若手研究者育成を目指す。

 

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水和ナノ構造研究会 委員長:日下 勝弘
(茨城大学フロンティア応用原子科学センター 教授)

水和ナノ構造研究会

●研究会のコンセプト

サブナノメーターレベルで生体内 機能を制御するタンパク質等の周りには、非常に多様な形で水が存在する。大きな構造を持つ生体高分子と比べて、小さな分子である水が、生体高分子とどのように相互作用をして生命活動を成立させているかは、未知な部分が 多い。たとえば、タンパク質の分子 認識における水の役割や化学反応中のプロトンや水分子自体の授受および 水素結合の形成・解消のように、生体機能の中において水はナノスケールで重要な役割を黒子のように果たしている。
このような水和ナノ構造の解明には、水素位置決定を得意とする中性子回折法が重要な役割を担う。J-PARCの茨城県生命物質構造解析装置iBIXは、酵素とその基質複合体について、プロトン互変異を代表とする中性子回折の特徴を生かした成果が得られている。本研究会ではiBIXにより科学的意義、波及効果、革新性のある中性子の特長を生かした研究を展開し、中性子による水和ナノ構造研究の有用性を示していくことを目的とし、利用研究、ソフト・ハードの改良、大型結晶育成などのさまざまな実験分野研究者と計算科学研究者に生体高分子中の水やプロトネーションについて議論を深めてもらい、関連する分野の相互の発展を目指す。

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